2023/10/07

10/7 北イタリア_08 カステルフランコ・ヴェネト OMENEFEST2023

 ホテルグランドイタリア2階の朝食会場は数多くのドリンクやパン、ハム、チーズなど豊かな品々だった。ウエイターの男子も好青年でいいよね。いやぁ、イタリア滞在も慣れてきてしまったせいか、最後の気の緩みか、ゆるりと起きてゆるりと朝食をとり、散歩などしてなんかゆっくりしてしまったパドヴァの朝。そして行きの列車はそう沢山なかったことにその時に気づく。10時頃の地域列車で向かったのは30分ほど先のカステルフランコ・ベネト。この旅の最大の目的。ここも昨日歩いたデッラチッタのような城壁の街ではあるが一周できる壁は残っていないようだ。でも門などは保全されていて歴史を感じる街であるのは間違いない。写真祭はその旧市街とパルコヴィラボラスコで行われている。駅を背に高級な住宅に囲まれた一本道を公園ヴィラボラスコへ目指すこと10分、突き当たりの白壁面にOMNEFEST2023の垂れ幕を見つけた。この奥がパルコヴィラボラスコのようだけどここのガラスの扉から入場できないらしい。ガラスの向こうで大学生くらいの本の束を持った素敵な女性がバツの仕草で左へ行くようにと促してくれている。大きく左へ回り込んだ先に公園の入口が見えてきた。

 公園の入り口に写真祭の受付があって青年が笑顔で対応してくれた。入場チケットを渡され、簡単に展示のことと注意を教えてくれた。水と、木々と、遊歩道、その先の古い建築物。これらがバランスよく配置されて庭園の調和が生まれていた。展示は木々の中の野外展示から始まっており、点在しながら設置され庭園と交わっている。Natureを全面に打ち出した写真祭のイントロだ。やがて道が建物へ向かい中へ導かれる。部屋ごとに違う作家の作品が展開する。そして広い中庭へ出ると、その向こうにまた別の建物が。これが旧王室厩舎だ。馬の頭蓋骨が外壁に飾られていた。入り口から見た中は大理石の柱が建物を支え、天井高く、広い空間を確保している。二列の長い展示台が入り口から奥まで伸び、その上に整然と今回キュレーションされた写真作品集が並んでいた。125冊。

 ちょうどこの厩舎展示の担当だった現代芸術専攻の作家さんが展示について聞かせてくださり、更に私の写真を撮ってくれたり。ありがとう。感謝です。流石に全部とはいかないけど、できるだけ多くの作品に目を触れさせ、ページをめくり、紙や装丁をみせてもらった。1.5時間ほどだろうか。さて、他の展示へと外へ出て、日差しの中をゆく。大きな池のほとりにある旧植物園温室らしき建物内の展示を見終えたころ、雰囲気のある男性が気になった。向こうも気にしてくれている模様。話かけると、IndexNatureの本を手がけたブックデザイナーさんだという。気を遣って英語で話してくれる。しかし全体の数十%ほどしか理解できない切なさ。。 結局彼の目的を果たした後でよければ自分のアトリエまで来るべきだという。そこにIndexNatureを編集した本があるからと。

 城壁のような壁にある木製の大きなドアを開けると、歴史的な建物の中がデザインスタジオになっている。素敵なオフィスだ。ミネラルウォーターをグラスでいただく。日差しと高めの気温に空っからの喉が潤う。グラッツェ!

 彼の作った本についてと、マッシモのキュレーションについて話をしてくれた。旧市街はすぐだから、駅に向かうのにはそこを歩いてからでも間に合うからと勧めてくれた。彼らと別れ城壁の門をくぐる、昨日の街路はまた違う雰囲気を少し味わって足速に鉄道の駅へ。今日のうちにミラノまで帰らなければならない。




 飲み物を買ってパドヴァへ戻る列車を待っていると、客車の無い落書きだらけの列車がホームに入ってきた。怪しい。周りを見ていると、子供を連れたお母さんが移動をはじめる。少し慌て案内板を探すとパドヴァ行きは番線が変わって向こうのホームとなっていた。

無事に乗り込んで、パドヴァへ。そしてitaroに乗り換えずっと西のミラノへ向かった。車内は夕方の光に包まれている。列車が速度を上げ車窓の風景が流されてゆき、疲れもそれと一緒に流されてゆくかのように。心地いい良い