シャクナゲ沼をめざしていた。
手前の沼、長沼へはシャクナゲ岳から流れ込んでくる厚い雲が幻想的で一気にチセヌプリを隠していった。撮影していると雲のやってくる森のおくからこれまで聞こえなかった音がざざざーっとしてきた。
雨だ。
あわてて上下の雨具を着、バッグにもカッパを着せ間に合った。水辺から山道にもどるとまあ小降り程度。なので先を目指すことにした。結局チセとシャクナゲの分岐標高888mまで行ったものの、その少し前から降りは強めになってきて、ついに大降りに変わってしまった。
もうひどい雨で、はやく車まで戻りたいのだけれど、1時間は確実にかかるところまできてしまっている。カッパのなかまで雨は入っていないが、すでに見た感じ全身ずぶ濡れ。「おちついて」「おちついて」「ゆっくり」「ゆっくり」
山道が川になる。。
恐怖がよぎる。
雨脚はどんどん強くなる。
来た道は集中豪雨で通行止めになる道道だ。
雷が地響きを繰り返す。
鳴り響くと雨脚が猛烈に強まる。
ほんの少し降りが弱まり、また雷と共に強い雨に戻る。おそろしい。長沼の先に少し開けている場所、あそこは雷の標的になるからまずい。体勢を変え、三脚をはずし、ポールとともにヨコにしてなるべく笹藪に沿って歩く。クリア。もう少しだとおもう。
木道まで戻ってきた。下り50分ほど経過したところでiphoneからの信号が途絶えた。
気に入っていた今では小さなスマホ、さよならか。。