ホテルローマの朝。テーブルは布が敷かれ、清潔感あっていい。クロワッサンやヨーグルト、キュウイフルーツやカトラリーを運んで席につくと頼んでおいたアメリカーノを美人のお姉さんが持ってきてくれた。奥のカウンターあたりでカフェマシンを担当しているお兄さんも挨拶してくれる。二人とも笑顔が素敵な人で安心感も増す。朝食卓から見える外は晴れて窓から入る日差しが強くてまぶしい。地元通勤の車が慌ただしい様子を見ながらの朝食。
ホテルから歩いてそう遠くない距離だった。ネオニアーノ洗礼堂。予約時間よりずいぶん早く到着して少しためらったけど入口の警備の人に尋ねてみる。このチケットで時間になったら入れますよね、と。通じていないんだと思うけど、チケットバーコードを読み込んで、入れという仕草。えっ、いいんですか。。晴れた外から中へ入るとやや暗く中には誰もいない。しかしまもなく目は慣れ天上に広がる絵画がこちらを見下ろしていた。クーポラに描かれた絵画がモザイク。ヨルダンで洗礼を受けるイエス。濡れた体を拭うための緑の布と植物を持つ老人が左に、駱駝の毛皮を纏ったヨハネが十字架を携え右に立つ。壺から流れ出たヨルダン川の水に浸かったイエスの半身は透け、その全てが数々の光り輝く放つテッセラによって描かれている。テッセラとは色石や色ガラスのパーツで、一つは数ミリから数ミリから数センチと小さい。
6世紀にすでに完成していたというここはラヴェンナ最古の建造物である。小さな洗礼堂の内部で心地いい時間を過ごしていると、やがてお客が徐々に入りはじめまもなくいっぱいになった。早めに入れたことは感謝でしかない。
隣接のMuseo Arcivescovile di Ravennaとサン・アンドレア教会、
街歩きののち、バシリカ式の・サンタ・マリア・マッジョーレを拝観し、サンタクローチェの外観を眺め回し、かつてそれと繋がっていたというガッラプラチディアへ。確かに外観は地味なレンガづくりで、シンプルな四角い箱型で構成されている。なんか少しだけすいていそうなタイミングだったので予約時間には程遠いけどチケットを出してみる。ここもOK、どうぞ入ってという。促されて足を踏み入れると今日見てきた中で最も薄暗い。閉じきった瞳孔から詳細は何も見えてこない。しかし絵そのものは学びで知ったそれがここにあるのは明らかだ。すいているとはいえそこそこの来館者で、その熱気に圧倒されながら見上げてみる。大理石を通った色のついた微かな光源では、そのテッセラが放つ色彩の美しさは半減しているようだ。朝観たネオニアーノの色彩が美しすぎた。とはいえ、ここの図像はネオニアーノのそれとはまるで違うことに意味がある。四福音書を敬い、それ以前の本を炎へ放り込もうとしている人物、良き羊飼いとしてのキリスト、使徒の指し示すその先にラピスラズリのブルー一面に散りばめられた天空の星々、精霊の象徴としての鳩、あぁ、ここにあるこれが5世紀の絵画なのか。同一敷地内に、バシリカ・サン・ビターレと国立博物館があるが国立博物館は今回遠慮しサン・ビターレを堪能した。荘厳な建築と見事なモザイクに圧倒される。街角でパニーニャをおそい昼ごはんにして、その後はダンテの墓、地下水教会バシリカ・デ・サンフランチェスコ、斜塔ラヴェンナシビックタワーを観てまわった。そして迷い込むように路地へ入ると礼拝堂らしき地味な円形建造物発見。入口のお姉さんに聞くと、今日は無料で良いから、あなたたちはラッキーだという。アリアーニ礼拝堂、無料拝観!お〜、ヨルダンで洗礼を受けるキリスト、これは朝みたネオニアーのモチーフと同一だけど、色々違いはある。不思議だ。そして興味深い。
夕食はケバブサラダセット買って帰り赤ワインとモレッティもあわせ部屋飲み。時差ぼけと歩きっぱなしで疲れがなかなか。