先週末、二月ぶりに施設を訪ねた。いつもの面会室じゃなくて、部屋のほうに来るように施設の人が促す。大きなホールには、たくさんのご老人が集っていた。誰かに注目する。でもなく、挨拶をしながらそこを通り過ぎる。突き当たりのすぐ左母の部屋はあった。4人部屋。右奥のベッドに横たわる母は目を閉じ会話はできなかった。施設の人が右膝が腫れて熱もあると教えてくれた。想像以上に具合が悪いのかもしれない。無反応だったけど、帰るからね、と手を握ってみたら冷たかった。2ヶ月前に別れ際に握った手の感じとはずいぶん違うかもしれない。帰りにまた大きなホールを通り抜けて、挨拶の言葉を発し、つつ通り過ぎようとしたら、1人のおばあちゃんが手を振っている。思わずこちらも手を振り返したら、笑顔でさらに手を振ってくれた。さようなら。お元気で。老いと言うのは、個人差があるとは聞いていたけど、ほんとにそうなんだなぁ。
明けた火曜、実家に立ち寄った。ストーブの前の椅子に座った父は動こうとせず。いや動けないのかもしれない。何を聞いても上の空。昨夜は具合が悪かった。今朝は床から立ち上がれなくなっていた。と言う。流しには洗い物が溜まり。ガスコンロは警報が鳴り続けていた。火をつけたまま自動消化機能が働いていたみたいだ。どうやら小用はトイレじゃなくてオケとかにしているみたいで、匂いも気になる。手にしたみかんを食べ、時々りんごジュースを飲み、これから床屋に行こうと思っていたなんて言っていた。冬用の片手パッド着せてあげたら少しあったかいって言っていた。ほとんど身動きを取らないで座ってるだけなのに、床屋に行けるはずがないよ。屋根に積もった雪はストーブで温められ厚みを増した氷になっているようだ。そこから伸びたつららは太くて太くて、長く長く伸びた鋭い先端は地面にもう少しで届きそうなくらい。その頑丈に育ったつららを少しずつ割って落とした。屋根の下の雪を落とした氷と一緒に取り除き、ひとまずそれだけさせてもらった。手をかけないと、こんなにつららだらけになるなんて、想像もしていなかった。
