街を出るとあっという間に荒野が広がる。その広い広い真っ赤な土地は砂漠であり牧場である。一部簡易的柵が設けられているもののそのほとんどで牛たちが自由に道路を横切れるようだ。実際バッファローと思われる黒く巨大な生きのもが道路脇に横たわわっていた。自分は生きたカンガルーには出会わなかったが時折放置された死体を見るに彼らも道路を横切っている。
レンタカーの保険では、夜間や未舗装は適応外と赤いスタンプが押され強調されていたから注意が必要だし、そういった場所や時間に事故が多そうだからなんとかならないのかと疑問に思ったりした。まぁ、110キロや130キロの時速で走っていて突然動物が現れたらおそらく無事ではいられないだろう、素人さんは夜間のドライブは避けるべきということか。
太陽が容赦無く照りつける、広い大地を走り抜けている中ブッシュの奥に白く大きなものが目に止まった。道路脇に車を停め歩いて近づいてみると数頭の牛の死骸がカラカラに干上がっている。動物に食べられたのか肉を失い骨だけになったもの。皮が残ってリアルに生きていた姿に近いもの。なぜこうなるのか。夜一桁の気温は日中は30近くまで上がる。空気は乾燥し赤い大地に水は見当たらないうえ、太陽がひときわ強く照りつけ日陰が少ない。柔らかくて美味しそうな草などもちろんどこにもない。ここに放たれると生き続けることの高度な技が必要であると同時に危険も多いのが想像される。
どうりで見かける牛たちはみな研ぎ澄まされた体型をしているわけだ。生き続ける術を持っているということか。
マクドネル国立公園の東へ車を走らせる。西のララピンタに続いて東のトレフィナ渓谷でのブッシュウォーク。大地に恐竜の背骨のごとく左右にのびる巨大岩盤の山がマクドネルナショナルパーク。何百キロに及ぶ山の数カ所でギャップや谷が存在しそれら切れ目では雨期には大量の水が通り抜けるという。
この時期全く水のない干上がったトレフィナも大きく広い川床があらわになりその両岸の険しく切り立った岩から見下ろしたり砂の川床を通るトレイルコースになっている。
休憩している自分に、どこからきたんだとか、ここは初めてかいと簡単な会話だけど積極的に話しかけてくれるのが嬉しく楽しい。
6kmほど歩き壁画にも出会えた。帰路ブッシュの中に動くものを見つけると向こうもこちらを気にしている。
ディンゴ!